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2023年6月11日

薬物乱用頭痛について

「月に数回だった頭痛が、気がついたら毎日になっていた。頭痛がなくても毎日肩が凝って、気分もすぐれない」

片頭痛の方の中には、長年の経過において、鎮痛剤との付き合いが深くなり過ぎて、月の内半分(15日)以上を鎮痛剤に頼ってしまう方がおられます。
こういう方は薬物乱用頭痛と診断され、一般的な片頭痛(エピソード片頭痛)とは別の病態となっていると考えられています。
頭痛以外にも、肩が凝る、瞼が重たい、気持ちが晴れない等の随伴症状もあるダラダラ頭痛となっている方も多く見られます。
このような薬物乱用頭痛の唯一の治療は、“鎮痛剤を飲まないこと“ です。
以前は、入院して薬断ちをして頂くこともありました。
もちろん、
「頭痛薬を飲まずに過ごすのは例え数日でも難しい」
「仕事があるので1日でも無理だ」
実際このような方がほとんどであり、従来から薬物乱用頭痛は治療困難な病気でした。
当院では、このような方に対しては、まず3か月程度、内服薬による予防療法を行い、鎮痛剤を使用する頻度を月に8回以内にすることを目指します。
それでも8回以内に減薬が達成されない場合には、CGRP受容体拮抗薬という注射薬を提案します。
CGRP受容体拮抗薬は2021年発売の新薬であり、高価な薬ではありますが、薬物乱用頭痛に対する救世主となりうる薬剤と考えて私は積極的に治療に取り入れております



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