2025年1月25日
片頭痛治療の新時代 ~ 抗CGRP注射という選択肢~
片頭痛は、多くの人が抱える深刻な問題です。 その影響は日常生活や仕事、趣味、そして家族との時間にまで及び、人生の質を大きく左右します。 特に、慢性片頭痛や薬物乱用頭痛を抱える患者さんにとっては、適切な予防治療が非常に重要です。 これまで、片頭痛の予防治療としては、以下のような薬が用いられてきました。
1. 抗てんかん薬 : 脳が敏感になりすぎる状態を抑 えるための薬
2. 降圧剤(血圧を下げる薬) : 片頭痛の原因の一つ である血管の働きに作用する薬
これらの治療法は多くの方に効果をもたらしてきましたが、一方で効果が不十分な場合や、副作用で治療が続けられないケースもあります。
抗CGRP注射薬の特長:
⒈片頭痛の「スイッチ」に直接作用
抗CGRP注射は、片頭痛の発症に関与する CGRP (カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質に 直接作用します。CGRPは、片頭痛発作時に神経か ら放出される物質で、血管を拡張させたり炎症を引 き起こしたりすることで片頭痛を誘発します。この治療法は、従来の薬のように間接的ではなく、片頭痛の「スイッチ」そのものをターゲットにする点が 画期的です。
⒉長期間持続する予防効果
抗CGRP注射は、1回の注射で数週間から一カ月間効果が続くとされます。そのため、内服予防薬を減らしたり、中止することも視野に入れることも出来るため、忙しい方や服薬の習慣が 負担になる方にも適した治療法です。
⒊副作用が少ない
従来の片頭痛予防薬では、眠気、だるさ、体重増加などの副作用が問題となることがありました。一 方、抗CGRP注射は、CGRP という特定の分子だけを狙い撃ちするため、体への影響が少なく、耐容性が高いとされています。
慢性片頭痛と薬物乱用頭痛へのアプローチ:
特に、1か月のうち15日以上片頭痛が続く慢性片頭痛や、鎮痛薬を頻繁に使用しすぎることで片頭痛が悪化する薬物乱用頭痛の患者さんにとって、抗CGRP注射は大きな可能性を秘めています。 これらのケースでは、予防的治療が症状を改善し、薬物の過剰使用を抑えることにつながります。
個別に合わせた治療計画:
当院では、患者さん一人ひとりの状態や生活スタイルに合わせて、柔軟な注射方法も提案しています。基本的には、まず3カ月使用して効果を判断し、次回以降の注射については相談していくこととしています。
また、試験前や結婚式前など頭痛から解放されるべき期間のみの短期導入、といった方法も行なっております。
人生を変える一歩を!…とは法律上書けません:
抗CGRP注射は、多くの患者さんに効果を発揮しますが、すべての方に有効というわけではありませ ん。臨床データによると、約30%の患者さんでは十分な効果が得られない場合があるとされます。
しかしながら、実際に治療を受けられた患者さんからは、
・「発作が劇的に減った」
・「片頭痛を気にせず生活できるようになった」
などの反応が得られる事が多く感じます。
なにより、診察室へ入ってこられる時の表情が明らかに変わります。
もし片頭痛やその治療でお悩みの方がいらっしゃいましたら、ぜひ当院の頭痛外来にご相談ください。
抗CGRP注射があなたにとって新たな希望となるかもしれません。