2025年6月3日
今回は「片頭痛と食事、特に血糖値スパイクとの関係」について解説いたします。
近年、食後の血糖値の急上昇(=血糖値スパイク)が、片頭痛の発症に関係している可能性があることが分かってきました。片頭痛の方の中には、食事の工夫によって頭痛を軽減できる人も居るということです。
◯血糖値スパイクとは?
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇し、その後急激に下がる(低血糖状態にまでなり得る)状態のことです。この急変動が、片頭痛のトリガーとなることがあります。
◯血糖値スパイクと片頭痛の関係
血糖値が急上昇したあとに急降下すると、体は低血糖に対応するためにアドレナリンやノルアドレナリンを分泌します。これが交感神経を刺激し、脳血管を収縮させたり、その後に反動で拡張させたりします。一方、片頭痛のメカニズムも「脳血管の拡張と三叉神経の刺激」によって起こるため、血糖値の大きな変動が片頭痛の引き金となることは、理にかなっているのです。
◯食事で片頭痛を予防するポイントは「血糖値を安定させること」
そのためのキーワードが「脂質」と「食べる順番」です。
ポイント①:良質な脂質をしっかり摂る
脂質は消化に時間がかかり、糖の吸収をゆるやかにしてくれます。また、食欲を安定させ、満腹感を持続させる効果もあります。
✅ 良質な脂質の例:
ポイント②:「脂質 → タンパク質 → 糖質」の順で食べる
いわゆる「食べる順番ダイエット」としても知られていますが、この順番で食べることは食後の血糖値スパイクとその後の低血糖を抑えるため、片頭痛のトリガーが入りにくくなると考えられます。
✅ 例:洋風朝食
※特にバターは、血糖値安定に寄与する脂質のひとつ。朝は特に血糖値スパイクを起こしやすいとされており、朝食にバターをしっかり使うのは望ましいと考えます。
なお、血糖値スパイクですが、片頭痛の人への悪影響だけでは無く、糖尿病、生活習慣病、認知症などさまざまな病気の重要な原因と言われています。
「トーストだけ」「おにぎりだけ」「果物やジュースだけ」の糖質一辺倒の朝食は、片頭痛の方に限らずおすすめできません。
また、夜に糖質を摂り過ぎたり、昼食を抜くなど日々の食事習慣がまちまちである事も、血糖値スパイクやその後の低血糖を増幅させることに繋がります。規則正しい食事習慣が望ましいのは言うまでもありません。(私も昼食抜きダイエットをしていたことがありますが、健診で脂肪肝となっており、びっくりしました)